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安田総監督退任のお知らせ

更新日:2020年8月6日


先日の納会をもって、法政フットボールの総監督を退任させていただくこととなりました。

一昨年の9月より、監督、総監督という立場にて様々な活動をさせていただき、その中で皆様より多大なるご支援、応援をいただけたこと、心からお礼申し上げます。

また、アメリカンフットボールに携わる企業の経営者の立場のまま、母校の監督を引き受けることに対して、寛大な心で迎え入れてくれた、日本協会、関東学生連盟の方々、他校の指導者の方々、法政大学関係者の方々、そのすべての皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

たった1年半足らずの期間ではありますが、僕にとっては本当に長く、有益な時間を過ごすことができました。外から見えるもの、そして内から見えるもの、その違いを感じ取ることができ、大きく言えば日本のスポーツ界、教育現場における課題もより客観的に、そして主体的に見ることができました。

そもそも難しい立場で監督を引き受けたこと、またかけがえのない一日一日を過ごしている学生のため、文字通り駆け足でチームの改革に取り組んでまいりました。そして立派なコーチングスタッフが出来上がったこと、学生たちの主体性が手に取るように見えてきたこと、などなど一定の道筋が見えたこともあり、いささか早急とは存じますが、退任させていただく決意が固まりました。

現在の日本のスポーツ界は、チームや競技ごとの個別最適の思考が強く、また経済的な問題から人員が手薄な現場運営という現実と相まって、チーム作りも、ゲーム運営も課題を認識しながらも、毎年同じことを繰り返してしまうという悪い循環があります。そんな中、まずはアメリカンフットボールが、そんな状況を改善しようということで、一昨年から監督や関係者が定期的に集まり、課題を整理し、解決に向けた具体的なアクションを取るべく、チームの枠を超えて議論を重ねてまいりました。そして、今年より大先輩である日体大・大山監督、東京大・森ヘッドコーチ、立教大・中村監督、同級生の慶應大・久保田監督などの強いリーダーシップにより、関東の大学において「監督会」の設置に至りました。試合では負けられないライバル同士が「学生の成長」と「アメリカンフットボールの発展」という共通な目標のもとに、建設的な議論を始めています。本当に頼もしい仲間たちに恵まれて、未来への明るい兆しも見ることができました。

今年からは、本来の立場である企業経営者という立ち位置から、アメリカンフットボールの発展、健全な学生スポーツの運営に携わってまいりたいと思っております。

ここからは学生へのメッセージとさせてください。

つい先日まで、アメリカンフットボールの本場、アメリカでは今年の卒業生たちと同じ世代の学生たちがプロ入りを夢見て「NFLコンバイン」に参加し、次の目標に向かい、自分の限界にチャレンジしていました。技術面はさておき、フィジカル面においては日米の選手を共通な物差しで、その違いを見ることができると思います。

・どこでこの差が生まれているのだろうか。 ・彼らはどんな環境で、何を目指しているのだろうか。 ・NFLコンバインに自分も参加できないだろうか。

今の時代、調べようと思えば何でも調べられます。自分で知ろうと思えば何でも知ることができます。 世界に興味を持てば、今見えているものとは違う景色が見え、違う基準が自分の中に芽生えるかも知れません。 自然と英語の勉強にも励むことができるかも知れません。

圧倒的な記録(数値)を叩き出しているアメリカの同級生たちは、NCAAの定める厳格なルールのもとにフットボールと向き合っていて、春のシーズンはたったの15日間しかチーム練習をすることができません。学業をおろそかにしても試合には出れません。そんな環境の中で、ここまでのパフォーマンスを発揮できる理由はいったい何であるのだろう。

全ての学生たちにはそんなことを、いつでも考えて欲しいと思っています。 そんな発想に立てれば、今、行っていることは決して「改革」などでなく、通常の進化の過程と思えるかもしれません。 アメリカにおけるフットボールはそもそも「スポーツの進化」をそのまま丸呑みにしたようなスポーツであり、安全管理、ルール、運営、用具、マーケティングなどなど、あらゆる領域で年々驚くような進化を見せています。我が国のアメリカンフットボールが相対的にどのような立ち位置にいるのか、まずはそんな客観視点を誰もが持つことが、変化、進化への起点だと思います。

そして何より、一番大事なことは、そんな圧倒的なパフォーマンスを誇るアメリカの同級生たち、もっと言えば世界中の文武両道のエリートたちとの勝負は、「人生というより長い舞台」においても継続していく、ということです。今この時点で後塵を拝して、何を根拠に未来への希望をイメージできるのでしょうか。努力は相対的に評価されるもので、それが切磋琢磨となり、社会の進化を作っていきます。

今、社会はグローバリゼーションという大きなうねりの中、国境の概念は限りなく薄くなっています。日本の中の勝負ではなく、世界中の同級生たちとの勝負を常にイメージしてください。

これからの社会は若い君たちが作っていくのです。

どんなに大きな目標も発想も、持つこと自体は誰でも自由です。ライバルは世界の超一流の同級生です。選手として、トレーナーとして、マネージャーとして、学生として、あらゆる立場で、世界の超一流を見て、学んで、彼ら、彼女らに負けない素晴らしい人生を歩んでください。

僕も、皆さんの環境がよりよくなるよう、少しでも若い人々の手本になれるよう、これからも全力で頑張ってまいります。

安田秀一

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